サーキュラー・アグリカルチャーとは

見て、触れて、食べられる、人も環境も健康にする、ウェルビーイングな都市型菜園

サーキュラー・アグリカルチャーの核となるハイドロカルチャーによる多段式垂直水耕法による有機農業は、土壌栽培とは異なる土を使わない水耕栽培による有機農業で、環境にも負荷をかけない、省スペースで土地の限られた都市部でも実現可能な循環型農業です。このウェルビーイングな都市型菜園による農業が普及し、人々の暮らしのより近くに、見て、触れて、食べられる菜園が増えることで、都市生活のストレスやヒートアイランドの緩和、都市の食料自給率の改善にも役立つと考えられます。
このハイドロカルチャーに、良好な生育環境を実現するプラットフォーム微生物(DSE)や廃ガラスを再利用したシリカソイルの植込材料、分散型高効率再エネ設備を組み合わせ、都市部のあらゆる場所で実施可能なサーキュラー・アグリカルチャーを確立することで、都市農業が有する多面的機能を発揮させ人々の豊かな暮らしを実現することを目的に、東京ベイeSGプロジェクト先行プロジェクトにおいてサーキュラー・アグリカルチャーの実証を行っています。

プロジェクト内容

  • 微生物を活用した多段式垂直水耕法による高収量な有機栽培の実証
  • 廃ガラスを再利用したシリカソイルの植込材料による循環型システムの構築
  • 雨水利用・風力発電・蓄電池システムと遠隔モニタリングシステムによる自律栽培の実証
  • 農福連携による育苗から収穫野菜の提供まで、地産地消のネットワーク構築

プロジェクト概念図

プロジェクトの概念図、主な実証内容は下記4つ 微生物を活用した多段式垂直水耕法による高収量な有機栽培の実証 (微生物を活用した苗の育成、植物性有機肥料を活用した有機栽培の検証、収穫物の成分等の分析、消費者ニーズに対応した農作物の苗の育苗) 環境に優しい循環型システムの構築 (シリカソイルの植え込み材料への活用、ハイドロカルチャー生産による環境負荷低減(肥料の効率的活用)、蒸散気化熱を奪うことによるヒートアイランドの緩和) 雨水利用・風力発電・蓄電池システムと遠隔モニタリングシステムによる自立栽培の実証 (再エネ・蓄電システムによるエネルギー供給、遠隔モニタリングシステムの運用、見える化による教育コンテンツの作成) 農福連携による育苗から収穫野菜の販売まで、地産地消へのネットワーク構築 (障がい者の雇用促進、都内レストラン等への農産物の提供、リレー栽培の実証、イベント塔における半成品の頒布)
プロジェクトの概念図、主な実証内容は下記4つ 微生物を活用した多段式垂直水耕法による高収量な有機栽培の実証 (微生物を活用した苗の育成、植物性有機肥料を活用した有機栽培の検証、収穫物の成分等の分析、消費者ニーズに対応した農作物の苗の育苗) 環境に優しい循環型システムの構築 (シリカソイルの植え込み材料への活用、ハイドロカルチャー生産による環境負荷低減(肥料の効率的活用)、蒸散気化熱を奪うことによるヒートアイランドの緩和) 雨水利用・風力発電・蓄電池システムと遠隔モニタリングシステムによる自立栽培の実証 (再エネ・蓄電システムによるエネルギー供給、遠隔モニタリングシステムの運用、見える化による教育コンテンツの作成) 農福連携による育苗から収穫野菜の販売まで、地産地消へのネットワーク構築 (障がい者の雇用促進、都内レストラン等への農産物の提供、リレー栽培の実証、イベント塔における半成品の頒布)

サーキュラー・アグリカルチャーを実現する5つの環(わ)

水の循環
雨水の循環だけで育てるハイドロカルチャー垂直菜園
微生物との共生
効率的な有機農業を可能にするプラットフォーム微生物
資源の循環
廃ガラスからつくられる資材、シリカソイルを使用
再生可能エネルギー
太陽光発電・蓄電システムによるエネルギー供給
農福連携
農業分野における福祉人材を活用したサービス

栽培施設

栽培施設が設置されている写真
サーキュラー・アグリカルチャー実証プロジェクトの栽培施設は、広大な東京湾の中央防波堤埋立地(海の森)の水路の目の前に設置されています。
栽培施設の外観写真
中央に向けて傾斜した太陽光パネルで雨水の回収を行い、栽培に利用しています。
栽培施設の内観写真
壁面状に重ねられた植物に上から水が循環することで酸素を取り込みます。
施設に設置された太陽光パネルの写真
上部と下部の2箇所の太陽光パネルで発電を行います。
管理棟に設置された蓄電装置
発電した電気は育苗施設のバッテリーに蓄えられ、ポンプやエアコンを動かします。
栽培装置のカセット拡大写真
カセットは交換式なので、必要に応じて植物の苗を交換できます。
栽培装置の足元の水タンク
下まで流れ落ちた水は再度ポンプで汲み上げられて循環します。
見学等には予め申込が必要です。お問い合わせフォームよりお申し込みください。

成果

令和6年度に実施した内容と結果

野菜を収穫している様子
垂直菜園での高収量栽培の実証
  • レカトン+シリカソイル、パフカル+シリカソイルの2種類の培地で苗の輸送時のストレス等を比較。パフカルを用いた培地の方が生育が良いことがわかった。
  • さらに、異なる条件(日射・肥料・水質)下で、垂直水耕栽培システムにおける各種野菜苗などの生育に及ぼす影響について調査。分析の結果、品種間で差異がみられ、肥料濃度は水菜やグリーンマスタード等で影響度が高く、日射量はルッコラやグリーンマスタード等で影響度が高いことがわかった。次年度以降、より詳細な分析を実施予定。
  • 24品種の野菜・ハーブ・エディブルフラワーの栽培を行い、長期採り可能な品種目を探るため収量を調査。2ヶ月目で収量が減少に転じるものが多いなか、小松菜・春菊は継続して収量が増加しており、長期採りに適していると考えられる。収量が減少した品目は、次年度以降、植物種に応じたDSE菌株の使用による収量アップの効果を実証する。
太陽光・蓄電池により空調・ポンプの電力が賄われているイメージ
エネルギー面からの自立
  • 太陽光パネルと蓄電池からなるエネルギー共有のしくみを構築。発電した電力をパワーコンディショナーを通じて蓄電池へ蓄電し、制御盤を通じて各サイトへ電力を供給する、オフグリッド型の再エネ設備による電力供給を実施した。
  • 悪天候が続き蓄電池容量が不足した1日以外は、垂直水耕栽培システムの水中ポンプ・温度管理のための空調設備・水温調整・育苗プレハブユニットのLED照明等の電力需要を昼間に発電した電力(蓄電池からの電力)だけでカバーできることがわかった。
垂直栽培装置で育てられている野菜とアンケート用紙のイメージ
地産地消ネットワークの構築・農福連携
  • 収穫した野菜の活用方法を検討するため、関係者スタッフに対して野菜の見た目、サイズ感、食感、香り、食味をアンケート調査にて評価。各項目とも8割以上の参加者が「最高」「良い」と回答した。
  • 垂直水耕栽培ユニットにおいて都内の障がい者による収穫作業を実施。栽培体制構築に向けて、垂直水耕栽培の障がい者の作業適性、園芸療法、介護予防、ウェルビーイング、メンタルストレスケア等について、次年度からの実証調査について学識経験者からの意見聴取を実施。
本プロジェクトの実証結果等についてのお問い合わせ、視察等の依頼はお問い合わせフォームよりご連絡ください。